間取り・プランニング 2026/01/09

二世帯住宅って本当に必要?同居・近居・分離で考えるちょうどいい距離感

埼玉県入間郡毛呂山町で自然素材をつかった家づくりをしている、株式会社信濃住宅の森です😊

「二世帯住宅も考えてはいるんですが、正直ちょっと抵抗があって…」
最近この問いから相談が始まることが増えました。少し前までは「親と住むなら二世帯」という流れがありましたが、今は同居だけじゃありません。近くに住む近居、同じ敷地でも生活を分ける分離。選択肢が増えた分、迷いも増えた…というのが正直なところです。

結論から言うと、二世帯住宅は目的ではなく、家族それぞれが心地よく暮らすための“考え方のひとつ”です。大事なのは、家族にとって無理のない距離感をつくれるかどうか。

二世帯住宅のリビング
二世帯住宅のリビング

◆ 二世帯住宅って、本当に必要?

二世帯住宅という言葉だけで、身構える方は多いです。気をつかいそう、生活音が気になりそう、お風呂やキッチンがバッティングしそう。どれも、実際に起こりやすい悩みです。
だからこそ最初に決めたいのは「二世帯にするか」ではなく、「どう暮らしたいか」。ここを飛ばすと、間取りの正解が見えなくなります。

◆ 今回のご家族が動き出したきっかけ

70代の親世代と、30代の子世代。そこにお孫さん

今回のお施主様は、70代のご夫婦と、30代の娘さんご夫婦。そこにお孫さんが生まれたばかりでした。
子世帯はまだ働き盛り。毎日が時間との勝負です。一方で親世帯は、孫の面倒を見られる余裕がある。こういうタイミングだからこそ、家づくりを考え始めるご家族が多いんです。

「急に熱が出たらどうしよう」
「お迎えが間に合わない日があるかも」
子どもは小さいし、仕事も簡単には休めない。
そんな毎日の中で、近くに家族がいるというだけで、気持ちの持ち方がずいぶん変わります。

二世帯住宅 脱衣スペース 造作家具
二世帯住宅の少し広めの脱衣スペース

◆ 古い実家では、一緒に住めなかった

狭さと老朽化。気合いでは超えられない壁

元の家は古くて、狭い上に夏暑くて冬寒い。家族が増えた今の暮らし方には合わず、「この家で同居は難しい」というのが全員の共通認識でした。
ただ、敷地の後ろに畑があったんです。そこをつぶして、しっかり大きく建てよう。ここが、現実を前に進めたポイントでした。

同居の悩みは、気持ちの問題だけではありません。
家の広さや、敷地をどう使えるか。あるいは新しく土地を購入するのか。まずはその条件整理が、とても大切になります。

◆ 玄関は共有。水まわりは1階中心という割り切り

共有するところは共有して、迷いを減らす

このお家は、玄関を共有にしました。
「ただいま」「おかえり」が自然に交わる場所がひとつあるだけで、家族の距離がほどよく保てます。完全分離にすると便利な反面、家族の気配を感じにくくなることもあります。

水まわりは、さらに現実的に考えました。
2階にも浴室はありますが、サイズは補助的(1820×1365 0.75坪サイズ)。基本は1階のお風呂を使う想定です。1階はゆったり檜の香りをかぎながら入れる板張りのお風呂です。
キッチンも同じで、2階は1階よりコンパクトですが、必要な機能はきちんと備えています。

二世帯住宅でありがちな「すべてを完璧にふたつ」にしない。
この割り切りが、暮らしやすさとコストのバランスを取りやすくしてくれます。

ハーフユニット 木のお風呂 檜の壁の風呂
檜の板張りのお風呂

◆ 週末の「みんなでごはん」を叶える、広い1階LDK

ご家族の希望は、週末はみんなで食事をとりたい、というものでした。
だから1階のリビングダイニングは、あえて広く。ここを家の中心に据えています。

平日は、それぞれの生活リズムで過ごす。
でも週末になると、子世代もお孫さんと一緒に、自然と集まってくる。気づけばテーブルを囲んでいる。
それが、二世帯住宅を無理なく続けるための、大事なポイントだと感じています。

二世帯住宅のダイニング 木のキッチン ウッドワン
木のキッチンのある二世帯住宅のダイニングスペース

◆ 親世帯の希望は「木の家」だった

親世帯から出た希望は、はっきりしていました。
「木の家がいい」
見た目の好みというより、落ち着く空気感、手触り、居心地。家の中で過ごす時間が増えていく世代だからこそ、五感の心地よさを大事にしたい、という思いが伝わってきました。

私たち信濃住宅も、自然素材の家づくりを大切にしています。素材の気持ちよさって、写真だけでは伝わりにくいのですが、実際に体感すると「木の香りが心地いい」「とにかく床が温かくて気持ちいい」と言われることが多いです😊

◆ 働き盛りの子世帯を、親世帯が支えられる今

二世帯のメリットは、家事を分け合えることだけではありません。
一番大きいのは「時間」です。いわゆるタイパ。

お迎えや急な呼び出し、寝かしつけの交代。
親世帯が少し手を貸せるだけで、子世帯の体力も温存できます。

子供は本当に可愛い。
でも毎日続くと、正直なところ、へとへとになります。
だからこそ「近くに味方がいる暮らし」は、とても心強い助けになります。

二世帯住宅は、親世帯子世帯が仲がいいから選ぶ、というわけではありません。暮らしの負担を減らすための、生活設計です。

広めのバルコニー 二世帯
子世帯の2階のバルコニー ちょっとした椅子テーブルを置いてアウトドア気分

◆ 同居・近居・分離。どれを選ぶかの基準

最後に、選び方の基準をシンプルに整理します。

同居が向くのは、共有ルールを話し合える家族。特に食事やお風呂の時間、生活音の許容範囲を先に言葉にできると強いです。
近居が向くのは、程よい距離で助け合いたい家族。徒歩や車での距離感が、ストレスの出方を左右します。
分離が向くのは、生活リズムが大きく違う家族。気配が近すぎると疲れてしまう場合は、分けた方がうまくいきます。

「一緒に住むか」より、「どう暮らしたいか」。ここがはっきりすれば二世帯も家づくりの選択肢に入ってきます。


今回のご家族のように、玄関は共有、でも水まわりは1階中心にして迷いを減らす。週末は広いLDKに自然と集まる。
完全同居でも、完全分離でもない。その間にある「ちょうどいい」が、今の二世帯のリアルだと感じています。

これから家づくりを考える方が、「うちの場合はどうかな?」と自分ごとで想像できるきっかけになれば嬉しいです😊

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