第6集 プラス思考へ

昭和の終わりから平成の初期にかけて、バブルの景気を味わい、その後の長いバブル崩壊の後遺症を 経験し、いつの間にか自分の中にマイナス思考でものを考えている事に、こんなことではいけないと気付かされることがたびたびあります。

戦後の第一次ベビーブームに7人兄弟の末っ子(3人は幼くして亡くなっています)として生まれ、長野で育ったころは食べるものも着るものもまだまだ大変 な時代でした。私たちだけでなく、周りの家々も子だくさんで食べるのに必死だったような気がします。 冬は雪に埋もれること半年。そろそろ食料も底をつくかと思われる頃、雪解けとともに、ふきのとうや山菜が芽を出し、ようやく春が来たなとほっとしたことを 思い出します。 雪が解けてまもなく、村の神社に上る斜面いっぱいにカタクリの花が咲き乱れ、あたり一面が青々とした草木に囲まれて行き、豪雪に埋もれていたことが今まで 夢を見ていたかのように、がらりと風景は一変します。 3年ほど前の5月の連休に田舎に帰り、カタクリのつぼみを5株ほど持って帰り家の庭に植えてみまし た。2年ほど咲いていたのですが、今年はとうとう芽も出さずじまいで、土壌と風土が合わないのでしょう、一緒に持ち帰ったこごみ(山菜:草ソテツの新芽) だけが毎年元気に葉を茂らせています。

生まれ育った環境は、持って生まれた性格と同等に、将来の自分を作り上げるのではないかと、多くの場面で思い出されます。 うれしい時や悲しい時、又悩んでいる時。海育ちの人は海の見える所へ、山育ちの人は山へ。自然とその方向へ足が向くようです。

毎日仕事に追われていると、あっという間に月日がたちもう年の瀬かと思うほどのスピードで1年が過ぎて行きます。マイナスの時期をプラス思考で何度も乗り越えてこられたのも、家族、社員、職方のもなさんの協力があってこそ、何よりもお客様のご支援あっての信濃住宅です。 より安全で環境に良い物を選んでお客様に喜んでいただけますように、毎年毎年試行錯誤の連続です。

こごみ
毎年元気に葉を茂らせる山菜“こごみ”